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しろくま、ホッキョクグマについて、教えて!
―レストラン"トレーダーズ・テーブル"の仲間たちー(その六)
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(タンドラバギーでシロクマ見物)

次の日から、月面探険車のようなバギー車によるツアーに参加し、写真を撮りに行った。

朝早く、宿まで黄色や白色のバスが、迎えにきてくれる。宿で約束の時間に待っていると、元気の良い若者が飛んでくる。

"おはようございます。あなたは今日バギーツーでシロクマ見学に行く、Hisa?"と迎えに来る。

10月半ばすぎると朝8時でも、まだ暗い。客はみんな寝不足で、話し声はない。およそ40分くらい東へ走ると、巨大なタンドラ・バギー車が待ち受けている。そこで乗り換えるのだが、すでに大ツンドラ地帯の真ん中である。

日本では、永久凍土の場所を、ツンドラと言うが、ここではタンドラという。そこを走る車だからタンドラバギー車という。

乗り換えは、はしごで登るが、その時寒いだけで後は快適である。このバギー車は1本450キロもある巨大なタイヤをつけているので、窓までの高さが4メートルほどもある。この車の床は、人間の背より高いからいかに車が大きいかが判る。これならシロクマが立ち上がっても、大丈夫だ。

1979年に、地元のスミスがタンドラ・バギー車を開発した。当時は、板張りの部分が多かったし、大きさもさほどではなかった。しかし写真家、ジャーナリストや旅行者にとっては、世界で唯一、安全にシロクマ観察が出来ると言うことで、チャーチルを観光地としてその名を世界に押し上げた。

高い値段とトイレを除けば、なかなかなもんだ。トイレの大きさは、狭く、オマルと言ったところだ。だだ30−40人の客が使うとそれなりに汚れる。他に方法がないので、みんな我慢をしている。汚れる前に、使っておくことを常に心がける。

コーヒー、クッキーや昼食用のサンドイッチ付きだ、味さえ我慢すれば、空腹だけは避けられる。

バギー車は、どこまでも平らだが、道無き道を走る。揺れ方もすごく、大地震としか言いようがない。床に荷物などおいたら、何処まで転がっていくか解らない。小型の船が大海で嵐にあったらこんな物だろう。あんまり揺れるので、車酔いなどをする暇もなく、イスにしがみついている手が疲れてくる。11月になれば、ツンドラも凍り付いて、巨大なバギーカーも氷の上を走れるようになれば、スムーズになると言う。

バギー車内は、シロクマを見に行く観光客は、様々な人達で埋まる。プロの写真家を初め、それは多彩である。

国も多彩だ。隣国の米国はもちろんのこと英国、フランス、ドイツ、オーストラリア、カナダなど様々だ。

たまには日本人も見られるが、その多くは、カナダへワーキングホリデー制度を利用して働いている青年達である。しかしなぜか女性がめだつ。最近の日本女性も大したものだ。

 (続く)

(C)1997-2006,Hisa.