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しろくま、ホッキョクグマについて、教えて! ―レストラン"トレーダーズ・テーブル"の仲間たちー(その四) NEW (私、Hisaです、しろくまのこと教えて。あるのは笑顔だけ、笑顔だ!!) 企業では、よくパーティーを行う。理由は何でもいい、創立何周年記念、社長交代、本社から役員が来たからなど、理由を付けてお客を呼んで名刺交換をする。みんな笑顔で"いつも大変御世話になります。本日は良くおいでいただきました"と、とってつけたことのように言う。全く商売がなくても"いつも御世話になります"と言う。笑顔を持って。 "おまえの名前は、Hisaか。ほう、日本から来たのか、だいぶ遠くから来たんだね。それで、こんなところまで何をしに?" "Hisa、俺、毎年チャーチルにシロクマの写真撮りにきて、5年になるけど、おまえプロのカメラマンかい?"イギリスから来た野生動物専門のカメラマンが語りかけてくる。 "ここの寒さはどれくらい?" そうか、"プロと言わない方がいいんだ。やっぱり人間何処へ行っても正直が一番なんだ"と素人カメラマンですと言った当たり前の行動に自分で感心したり、プロと見栄を張ろうとした気持ちを反省したりする。 "あなた誰? ここで何しているの? どこから来ましたか?私の知識はこれだけです。他にレストランある? 明日の天気は? 日本人来ますか?何頭シロクマいた?……"と、レストランへ行くたびに新しい質問を考える。 "日本のカメラマンは、ミッチェル(星野道夫)が二度ほど来たかな。他は来ないねー。来ても観光バスでシロクマの写真撮っているのじゃないのかな。Hisaもいい写真撮れるといいね"と笑顔で喋りながらも、"この日本人、ホームシックじゃないのかな"と思っているだろう。 チャーチルへ来てからは、いつも鏡の前では、笑顔の練習をする。"チーズ、さしみー"と、写真を撮って貰う時に作る笑顔とおなじだ。トイレの鏡でも。いい笑顔をするのだ、すればきっと人の心を開くことができると信じて。 自分が持ち合わせているのは、”笑顔だけ”。笑顔で話せば、とって食われることはないだろう。”笑顔だ、笑顔だ”。笑顔があれば、きっと心地よい香気が漂うに違いない、これしかない。もっと歯を見せた方がいいのか。眉毛をあげた方がいいのか?少しでも、シロクマや極北の自然のことを教えて貰えば、満足だ。 どこかに、きっとどこかに、いままで考えたこともない大自然の達人(先生)がいるはずだ。
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(C)1997-2006,Hisa.