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地球と太陽のささやき、オーロラ 写真撮影(その二) 10月には,シロクマにとって、氷の上でアザラシ狩の好機が近づく.そのために遠くから旅してチャーチル付近にやってくる。
人間にとっては、このシロクマの出没に備えて、厳戒態勢に入らなければならない。 "このあたりでは,灯りもほとんどないから、真っ暗で、オーロラ撮影には最適だよ。でも、シロクマに注意しないといけないよ""撮影には,ガイドを二人は雇ったほうがいいな。 銃も持たなくてはね。ガイドの一人は、撮影班を見る,そして他の一人は、撮影班を見ているガイドの周りを見るのだよ"と極北の達人ブライアンも心配する。 11月になってから,三人で構成されたオーロラ班である。
人が住んでいる家などでは迷惑がかかるし、遭難の危険な場所は避けなければならない。シロクマ対策もおさおさ怠りなく。 10月にチャーチルへ来てからも、撮影場所探しに目を凝らした。やっと6ヶ所ほどに候補を絞ったが,今度は空港,町、軍のアンテナの灯りなどが邪魔だったりする。持参したハイビジョン用の超高感度テレビカメラはわずかな光でも捉えてしまう。 最終的にオーロラ班が泊まる小屋は、ハドソン湾を左に見て町から東に向かって40分位車で走った所に決まる。 チャーチルに来るには,飛行機と汽車のどちらかだ。いわば陸の孤島になる。
小屋に到着すると、そこには針葉樹は森を形成しきれず、疎林のまま小さな湖を囲んでいる。そしてあたりには、人影もなく耳が"ジーン"となるような静けさをたたえている。 ここでは、厳しい寒さのため植物の成長は遅く、森のようになることは少ない。 ここから10キロくらいは、人は住んでいない。果てしなく続く自然のなかに、ポツンと我々三人は、誰にも拘束されることなく残された。 夜になれば、氷点下15度以下になり、風が吹き命の安全をも脅かされるかもしれないと言うのに、なぜかこの二人といると,開放されたような安堵感がする。過酷な自然が、人の心を開いてくれているのだろう。不思議な安堵感、自由空間を感じさせる。 窓から見える冷酷とまで言える自然の美しさが,取り残されたような三人の気持ちを急速に強い絆にさせているのかも知れない。"自分達だけで、お互いを守らなければならない。きっといい仕事できるよ"と。 今度、チャーチルへ来たら、10回目だ。そして重ねた月日は,6年目になる。それもこの空間の魅力なのかもしれない。 湖の北側には,使われているのか疑問を感じるような小さなコテージ風小屋が10軒ほど、自然に溶け込むように並んでいるが、人気はない。 すでに、湖は白く凍りついて、人が氷の上を歩いても、何ら不安は感じさせない。もう少し温度が下がれば,湖の氷も青くなるに違いない。シロクマにとっても、邪魔なものはない通り道になっているはずだ。 うまくしたら、青く凍った湖にオーロラが映るかもしれない。期待は,どんどん大きくなる。"できれば,オーロラとシロクマの映像がほしいな!゛
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