[HOME] [新着情報] [目次] [講座シロクマ] [シロクマinチャーチル] [フォトギャラリー] [玉手箱] [素材] [掲示板] |
シロクマ(ホッキョクグマ)が歩く街で、面接試験 勤務していた米国の会社で、新卒の入社試験委員長をしたことがある。 チャーチルのタウンセンターは、保育園から始まって、小、中、高等がある。しかし、高校を卒業するまでにいたる生徒は必ずしも多くない。それに町役場や病院。図書館、アイスホッケー場など町の機能が全てある。この辺ぴな町にしては驚くほど立派な設備ばかりである。冬寒いとき電線が切れることがある。そうなると暖房がきかなくなるため、ここに人が避難して集まってくる。 ここの病院は、カナダの北西側にあるヌナブットにすむ先住民族達の病院でもある。 従業員食堂は、町の住人かタウンセンターの従業員で占められ、よそ者にとっては少 そこへ"ドスン!ドスン!"とゴム長靴の音を立てながら男が現れる。 "あの〜。あなたは、ブライアンさんですか?申し遅れましたが、私、Hisaです。レストランのコックから紹介されたのですが・・・・・" "俺、ブライアン"と一言、また黙々と食事を口に運ぶ。食事しながらも時々こちらを伺うように見る。 極北の変人は、トマトジュースの缶を振ってから飲みながら"ウーン"とうなずく。"毎日、バギー・カーに乗って、シロクマの写真撮ったんだけど。極北にいる感じがしないのです。町の外も歩いたこともないし、五感を働かして写真を撮っているわけでもないのです"と、すっかり練習した笑顔も忘れて説明する。笑顔を、しっかりと練習したはずなのに。いざとなると人間は忘れるのも早い、時にはだから人間長くやっていられるのかもしれない。 "今、東京は、朝の二時です。温度は、二五度位です。日本円はいくらです。私の家 "名前は、Hisaと言ったな。明日のの予定は?"と聞く。すかさず、"予定は、何もありませんよ。あなたに会うために、予約してあったタンドラ・バギーにも乗らないことにしています" "アンの経営しているB&Bですが。解りますか?""解る。朝九時にアンのB&Bへいくよ。ブリザードだったら、行くか解らないけど"と言いながら"ドスン、ドスン"と長靴の音を立てて早足に消えてしまう。 エスキモー犬を飼っている変人が、シロクマ研究家やプロの写真家の間で、世界的な有名人であることを、その時はまだ知らなかった。彼こそが、シロクマや極北の大自然への扉を開けて、極北の大地に銃を持って、五感を駆使して、私と一緒に歩いてくれる人になるなどとは、もちろん思いもよらなかった。 |
|
(C)1997-2006,Hisa.