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9.11 もう一つのニューヨーク・テロとチャーチルの衝撃 |
NEW!! 9月27日’04 (その二)チャーチルでのテロの脅威、シロクマの出現。 日本では、朝一番の早起きは新聞配達人である。チャーチルでは、ヘリのパイロットだ。 シロクマが現れていないか偵察をする。もし現れたら、追い払うための低空飛行をする。それでだめなら、野生生物保護監督官へ連絡して、銃で追い払ってもらう。追い払えないときには、麻酔銃で眠らせジェル(シロクマの牢屋)までヘリなどで運ぶ。その後、ヘリでもっと北まで運んで放つ。それは夏でも冬でもやっている。 * フロンティアの地では、ヘリがあっての話である。村から一歩でれば、海岸線などには、道がない。地図は真っ白だ。 航空管制下で、村の近くにシロクマが出現したらどうするのだろう。いきなり、野生の国へ放り出されたような不安を覚える。シロクマ対策はどうなるのだろう。 あちらこちらで対策会議が始まるが、村人の多くはテレビを見て楽しんでいる。
(腹をすかし、村へ進入しようとする親子) そのうちにノストラダムス予言のコピーが回りだした。今回のテロで崩壊したニューヨークの世界貿易センターのツイン・ビルと米国を暗示するかのように「2人の兄弟は混乱により崩れ去り、その間要塞は苦しめられるだろう。巨大な指導者は屈服し、大都市が燃え上がる時3度目の大戦争が始まるだろう」。テロで崩壊したニューヨークの世界貿易センターの二つのビルを指しているようにも読める。 10月末のハロウイーンの日が、50数年ぶりの満月と一緒になるから、人は興奮しやすくなり、テロが再発するかも知れないと言い出す人まで現れる。 はっきりしていることは、今日の航空機の発着は全てキャンセルされたと言うことだ。そのため、鳥以外空を飛んでいるものはない。不思議な静けさに覆われる。すでにここはフロンティアではなく、野生の大地の真ん中だ。飛行規制が一週間も続けば、食べものも心配しなければならないし、村の周りにいる野生動物対策も心配だ。 村のはずれに位置する家屋は、窓や出入り口をふさがなくてはならない。チャーチルは、旅客機の北極ルートの下なので、上空はるか旅客機が見える。夕日に光る飛行機雲は綺麗だ。今は、一機も飛んでいない。人類最後の一瞬はこんな光景かもしれない。 最近、夏といえシロクマがよく現れる。温暖化のため、氷がはっている期間が少なく。シロクマはアザラシ狩りに行く期間が少ないからだ。腹を減らし、海岸まで現れる。時には、オオカミやカリブーまで村に現れることがある。その監視を車でするのは、とても無理なことである。 (シロクマ捕獲用ワナ) 野生生物保護監督官のトラックが、シロクマ捕獲用の大きなワナを村の周りに設置しに行く。檻の中にアザラシの肉をぶら下げて誘いだそうとするが、簡単にはいかない。今までにも、この罠にかかったシロクマは見たことがない。シロクマは案外利口だから簡単にはだまされない。 捕まえたとしても、ジェルがいっぱいになったらどうするのだろう。ヘリが飛べなくては、遠くへ追放することも出来ない。 * 子供たちは、村の中ばかりで生活するので、大自然に接することが少ない。サマーキャンプは子供たちにとっても楽しみの一つである。 ヘリが飛ばない今、学童散歩といえども事態が異なる。学校では、村の外へ学童を連れて行くときには約束事がある。8人までの学童の時には、銃を一丁持参する。9人以上だと2丁になる。17人以上では3丁の銃が必要だ。勿論、シロクマの脅威から子供たちを守るためだ。
ヘリに監視がされていないので、銃以外に、ベア・ガスや大きな音が出るガス・ホーンを持参した大人が付き添う。まるで自警団の見回りのようだ。 いでたちからして、先生や父兄というよりならず者と言ったほうがいい。ならず者に拉致された子供たちと勘違いする人がいてもおかしくない。 最近、日本では、夏の臨海学校は、事故を恐れて激減していると聞く。事故の危険があるから体験させることも大切ではないか。いつかこの光景を日本の先生や教育委員会の人たちを連れて来て見せてやりたい。
人間とシロクマと棲み分けができれば問題はない。しかしそれは人間の作ったルールに過ぎない。人間が住み着くよりはるか昔から、ここはシロクマの縄張りである。動物愛護なんて、ご都合主義もいいところである。 それからと言うもの、早朝からシロクマを追い払うための銃の発射音で目が覚める。それも何十発と言う発射音だ。宿の裏手や村の真ん中にあるパン屋の前でもだ。 これは、9月15日飛行禁止が解除されるまで続いた。遠い国で起こった惨事でも、極北の村をも脅かす。ここは野生の国とモザイクになっている極北の大地だからだ。 (完)
予告 10月6日掲載予定 野生の教え~野生に聴く、そしてその技を読む 『シロクマ、ホッキョクグマの不思議』
情報は、津波のように襲い掛かってくる。それも正しいか間違いかの区別はない。テレビ番組、図書館、研究室、高価なハイテク機器、それにインターネットから・・・・・・・。実体験がなくても、一通りなことは言えるようになる。 時には、一人の体験が、ほんの一回で短時間でもあっても研究者の間を駆け巡る。引用され、本に書かれる。気がついてみれば、それが人間だけの常識となっている。人間にとっては野生の世界とはそう言うものかも知れない・・・・・・。 時々、科学者と極北の達人との間に、意見の食い違いが起こる・・・・。 *
(その一) シロクマ、ホッキョクグマの共食い?~挨拶 (観察日記より)
『極北の知恵・技~野生の教え』 シロクマ、ホッキョクグマの教え 『チャーチルの秋、そこは命が入れ替わる』 (その二)シロクマが出た!!銃がなくては (その三)秋の散歩~白鳥
『しろくま、ホッキョクグマとエスキモー犬』
『しろくま、ホッキョクグマが歩く町、チャーチルの人達』 (その九) 欧州人の到来とクリー・インディアン
極北での漁 シロクマに学ぶ、体につく氷 雪で、50頭のカナディアン・エスキモー犬が飢え死にする 体感気温、氷点下100℃、それでもワタリガラスは シロクマ写真撮影の約束/カナダ野生生物保護局 北極圏は雪はあまり降らない?犬が!! 先住民の特権 あなたにとって、春一番は? 極北で人を殺すには刃物はいらない なぜしろくま、ホッキョクグマに魅せられたか? しろくま、ホッキョクグマは、好奇心のかたまり しろくま、ホッキョクグマのあいさつの仕方 しろくま、ホッキョクグマと野生生物監督局 しろくま、ホッキョクグマと地球温暖化 しろくま、ホッキョクグマの子ども、そしてその死 地球温暖化とやせ細るしろくま アルコールと先住民 極北の魂、最後のフロンティア 京都とチャーチルの違い 野生生物保護管とシロクマ・パトロール 町のシロクマ対策 子供のシロクマ対策 このシロクマの写真、凄いだろう 揺らぐ先住民のこころ しろくま、ホッキョクグマの村では、分かちあわなければ、 生きていけない。 ティーピー作り ブリザードとホアイトアウト(風速110メートル) ハンティングとその掟 極北の魂、最後のフロンティア チャーチルでのハロウイーン しろくま、ホッキョクグマは、陸上最大の肉食獣、草食獣とは違う デジタルカメラとの戦い 達人の嘆き |
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