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チャーチルの夏、そこは命が輝くところ (その七)オオカミ"ツンドラ"との会話〜目は心を表す 目と言うのは、周りを見るだけのもではないから、そこに不思議がある。相手の目を見据えると、悲しみ、喜びや怒り、祈り、服従、賛同などが読める。それは人の心を感じることが出来るから神秘的ともいえる。それは相手の心との交流までできる。 そのあらわし方は、瞳孔の大きさなどに働かせる筋肉によってであるが、また顔の周りの筋肉を使って、表情でも相手と交流する大きな役割を目は果たしている。
(ホッキョクウサギ)
可愛いイメージのホッキョクウサギでもキツネでも、彼らの目は鋭くて怖いほどだ。人間は、アイシャドウ、アイラインや付けまつげなどでその真似をして頑張るが、とても野生動物など自然の魅力にはかなわない。 肉食動物(捕食)と草食動物(被捕食)では、目の位置が違う。肉食動物は、獲物を見つけ、距離を測り、見失うことがないように、二つの目が頭の前面についている。 その一方で、非力なウサギ、シカなどの草食動物の目は、頭の両側についている。いつでも敵が近づいていないかと、広い範囲に目配りをしなくてはならないからだ。上手く出来ている。 その点では、人間やチンパンジーなどサルの仲間は、正面に目がある。もし二つ目が側面に付いていたなら両手を使うことはできなかっただろう。自然界の贈り物は凄いものだから、やたらに不満を言ってはいけない。 私たち人間の言葉には、「百聞は一見にしかず」といい、見ないと信じない。それほど見ると言うことは情報量が多い。 * こちらに興味を持ったのか、それとも遠吠えで、仲間を確認したので安心したのだろうか。極北の朝も8時頃になると、真昼間のようだ。太陽が高くなるとともに、あたり一面に咲いている花が日差しで一段と輝く。一週間前には、ピンク系の花が多かったのに、今は白い花が多くなった。 ”ツンドラ”の行動は大胆になってきた。 その視線は、人間の感情表現に近いようだ。その目つきは睨んではいない。にらみ続けるとしたなら、攻撃態勢だろう。 最初に目が合ったときには、両耳を後ろに倒したり立てたり警戒の姿勢をとった。今は違う、時々横に倒すがすぐに立てる。 ”ツンドラ”と目があうと、わざとも視線を外すことにする。”ツンドラよ!お前なんかには興味はないのだぞ”と伝えるために。それだけでなく、相手がこちらを見ているときには、顔を反対に向けて、無視する。 犬たちに興味を持っているのか、私への興味なのか複雑な動きをする。長い間行ったりきたりしていたが、突如としてトラックの10メートルくらいのところを横切る。 さすが、ここまでまで接近したためか、頭を高く上げて耳をやや後ろに倒して、警戒の姿勢を見せているのだろうか。時々尾を水平にする。 200ミリレンズでは、大きすぎて役に立たない距離となる。大慌てで、28〜85ミリのズームレンズに取り替える。カメラのレンズをかえたり、フィルムにあたるデジカメ用のメモリーを変えるため、トラックの中は戦場のようだ。オオカミの目が、レンズなしでも大きく映る。野生の輝きが目の前にある。”急げ!!”(つづく)
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